『黒馬物語』安藤貞雄 註解 直読直解アトム英文叢書

安藤貞雄は、『現代英文法講義』で高名であるが、『黒馬物語』のMrs. ; Mr.の説明も傾聴に値すると思う。

 

諸君が習った英語教科書等では、大抵、Mrs. とか Mr. の様に、ピリオドが打ってあったのではないでしょうか。だとすれは、この物語を読んでいて Mrs とか Mr の様に、後にピリオドが打っていないのを見て、少なくとも奇異な気持がしたに違いありません。でも、実は、この様な語にピリオドを打たない方式もあるのです。つまり、ピリオドを打つ方式は、アメリカ式のものであり、ピリオドを打たない方式は、イギリスの方式はイギリス式のものであるというわけなのです。日本の英語教科書類にピリオドを打ったスタイルが多いのは、要するに、アメリカの方式に則ったということに過ぎません。この本には、他にも、Dr という形が何べんも現れていましたね。

 

普通、DrやMrなどにピリオドが付いていなかったら、誤植と直ぐに思うのではないだろうか。これも、英語の知識の不足だと思う。他にも、炯眼による解説があり、作者の英語の造詣の深さが窺われる。