「口語文と口語」 内藤濯

内藤濯は、フランス文学の泰斗であり、

 

 

昨今の日本では、口語と口語文とがごっちゃになっている。書くことが口語文の存在条件だのに、それを無理やり、話すほうに持って行こうとする。だから、言葉それ自身が少しも生き生きとしていない。いや、むしろ死んでしまっている。したがって、言葉を聞く相手は、命のない言葉を無意味に聞かされるだけである。