北嶋忠夫『羅甸語初歩』 ラテン語 Latin

北嶋忠夫の『羅甸語初歩』は、他のラテン語の参考書にはない特徴があり、大変優れているラテン語の参考書だと思う。

 

翻訳への暗示

 

第一に直説法の動詞を探し出す。直説法の動詞は、普通一つの文章の最終かその近くにある。この動詞は単数形か複数形かを見、それから、名詞か代名詞かの主格を探し出す。それが単数か複数かの動詞の数と一致する単数か複数かを見る。

 主格は大体文章の首頭部近くにある。

 見出だした動詞の意味することからもしもその動詞が目的語を持っていたら、目的語を決定することが出来る。

 目的語は対格の名詞か代名詞である。ここで、ラテン語の一般法則として、各句の起頭の詞は(普通接続詞か関係代名詞であるが)先行する句にその句は結び付くことを注意せよ。

 主格か対格かの名詞は、そこの形容詞と一致する。

 接続詞主格か形容詞をもった主格対格か形容詞をもった目的語動詞、この四つのものを除けば一文章において、幾らかの詞か句が残されるであろう。これ等は普通奪格か、與格か属格における名詞か形容詞である。奪格と與格は常に殆ど近くの動詞と連結しており、属格はある名詞と連結している。

 

ラテン語の訳し方が大変詳細に書かれていると思う。

 

 

高津春繁 『ギリシア語読本』(要書房)

『比較言語学』『比較言語学入門』『アルカディア方言の研究』の著書もある高津春繁の『ギリシア語読本』は、古代ギリシア語の参考書としてとてもよく出来た参考書だと思う。古代ギリシア語の参考書としては、これ以上はないのではないだろうか。

 

ἐπαίδευονのἐ-はaugmentと称し、過去を表す。ἐ-をつけた語幹はつけない語幹とは異なる人称語尾を取り、之を第二次、そうでないものを第一次という。この区別は文法では大切である。

 

古代ギリシア語の良くできた参考書というものは大変少ないが、英語のように良くできた参考書が出来てもいいと思う。

 

 

 

池辺八洲彦『科学英語に強くなる』 

講談社ブルーバックスには英語に関する書籍もあり、池辺八洲彦の『科学英語に強くなる』は、OEDについてとてもよい解説がされ、とてもよい参考書だと思う。

 

 OEDには解読できないような文例が実に多い。参考書片手の古英語、中英語解読はまるで「蘭学事始」だ。OED の古英語、中英語からの全ての文例に現代英語への直訳と現代英語訳の両方が提供されていたらどんなにOEDの利用価値が高まる事かと思う(ついでながら「こなれた訳」とともに直訳も必要となる例がこの場合である)。

 

このOEDを書籍のように正確精密に読むという態度は必要なことではないだろうかと思う。又、古、中英語の知識ということも非常に大切だと思う。

 

 

 

 

『ギリシア=ラテン講座』 プラトン=アリストテレス学会編 鐵塔書院 関口存男 ラテン語

ギリシア=ラテン講座』(プラトンアリストテレス学会編)に関口存男ラテン語について書かれた「テキストの文法的分析」という訳注がある。

 

              テキストの文法的分析

 

 Haedus, stans in tecto domus, lupo praetereunti(1) maledixit. Cui(2) lupus, ,, Non tu, inquit(3) ,  ,, Sed tectum mihi maledicit.

 Saepe locus et tempus homines timidos audacis(4) reddit(5) .

 

[逐語訳] Haedus 牡山羊が domus 家の in tecto 屋根の上に ( tectum, i n. ) stans 立ちつつ lupo praetereunti 傍らを行く狼にmaledixit 悪態をついた. Cui これに (牡山羊に) lupus 狼が inquit [応えて] いった、Non tu お前ではなくSed tectum むしろ屋根が mihi 俺に maledicit 悪態をつくのだ.

 Saepe 往々にして locus et tempus 場所と時とが timidos homines 臆病な人間達をaudacis 大胆に reddit  なす.

 

[注]ー【1】praeter- は「側を」(ドイツ語の vorbei- ) の意味の前綴. -eunt- は eo ( 私が行く ) の現在分詞 (主格 iens. ). ー【2】現代語ならば ei (彼に) と指示代名詞又は人代名詞を用いるときに、ラテン語では前文との関係を密ならしめんが為に「関係代名詞」を用いる。その時は大抵文頭に置かれる. ー【3】inquam (私がいう) . ー【4】第三変化名詞複数 nom.acc. の語尾は-es だが、-is の形もある.ー【5】reddo ( 仏 rendre. 英 render ).

 

ラテン語の単語だけというのではなく、ラテン語の文章に詳しいという感を受ける。

 

 

青木常雄『新英文解釈』

 

By  literature we mean the written thoughts and feelings of intelligent men and women arranged in a way which will give pleasure to the reader. Literature has to do, therefore, so far as its subject goes, with all the things about which we learn, and think and feel. As to its form, it has two large divisionsーone of which is called Prose Literature and the other Poeticsl Literature.

 

一応一通りの意味が解らないのでは、折角後で述べることも徹底しないと思うので、先ず若干の注と試訳とを与える。

〔語訳〕By literature we mean ー 定義を述べる時のformula(決まり文句)の一つ。intelligent = endowed with faculty of understanding, with reasoning power.「理解力あるいは推理力を附与された」というのであるから要するに「知性のある」位の意味。arranged in a way ー 前にwhich are を補って考える。has to do with ー 関係を持つ。so far as its subject goes ー 主題に関する限り。so far as ~ goesも定まった言い方。as to = with reference to, concerning.

〔試訳〕「文学とは、読者に喜びを与える方法が整理された、知性のある男女の、書かれた思想感情を意味する。文学は、それ故に、その主題に関する限り、我々が学び考え、そして感ずる全ての事柄に関係を持つ。その形式は、大きく二つに分類されるー一つは散文であり、他の一つは詩である。」

 英語は、確かに教師が大切で、幼少の時から英文学に精通した教師であるべきだと思う。また、読むものは、英字新聞を少なく、文学書を多く読むべきだと思う。

タキトゥス『ゲルマーニア』

 

Germania omnis a Gallis Raetisque et Pannoniis

ゲルマーニア(古代ドイツ)は、全体的に、ガッリア人、ラェテリア人、パンノニア人からは、

Germania ゲルマーニア(古代ドイツ)は omnis 全体的に a ~からは Gallis ガッリア人 Raetisque ラェテリア人 et ~とPannoniis パンノニア

 

Rheno et Danubio fluminibus,

レーヌス河とダーヌウィウス河によって(分離され)、

Rheno  レーヌス et ~と Danubio ダーヌウィウス fluminibus 河によって